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なないろひいな

田村芙紗彦

  古来民間信仰のように拡がったものの中に厄という物があります。人生の転機等には家族のことを想いやりお互い気をつけましょうと言うことですかね。

　 ちなみに女性の場合、古来より厄よけには七色のものがよいとされて来ました。そこでおひな様にもなないろ を入れてみようと試みたわけですが七色と言えば初めに思い付くのが虹です。日本では一般的に赤・橙・黄・緑・青・藍・紫をなないろと解釈しています。（各国では虹の色数は様々でアメリカやフランスでは六色、ドイツでは五色など様々です）

　そこで七色をおひな様にと考えた結果お姫様の袖に刺繍を入れることにしました。 その刺繍ですが色々と試行錯誤した結果、なないろを七宝という文様の中の花菱に入れることにしました。此処でもこだわったのが七という数字です。

　 七宝（しっぽう）とは七種の宝のことで金・銀・瑠璃・玻璃・シャコ・珊瑚・瑪瑙の七種の宝です。

　又 なないろの赤とかと言っても同じ赤でもいろんな赤があります。隣の色との兼ね合いで色の濃淡を決めました。 又その色の配置にもいろんなパターンの中からバランスの良い配置にしました。

　 実際おひな様に使った刺繍は四ツ持ち合い七宝と言って丸い輪を四つ重ね合わせた文様の中に花菱を入れたものです。この花菱の花びらに七色を使いました。

　なないろひいな は出来るだけシンプルな衣裳でと考えてたのでお姫様もワンポイントの刺繍だけに、赤い色が邪気を払うと信じられたことからおひな様の唐衣を赤色にしました。

　忘れてはならないお殿様はというと 麹塵染めの袍（ほう）にしました。麹塵染め の袍とは、天皇のみが着ることを許された禁色で染められた衣裳です。深い緑いろ、 又は灰色がかった黄緑色とも言うべき高貴な色合いです。地紋である桐竹鳳凰などの文様が浮かび上がります。

　着付師　 田村　芙紗彦

　「なないろひいな」 は毎年飾りたいと思えるおひなさんをとの想いから着付師/田村芙紗彦さんや金襴・刺繍屋さん等の協力で出来上がりました、山本人形のオリジナル雛人形です。毎年迎える節句という年の節目に、飾って頂ければ幸いです。

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